国宝 伏線考察

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映画

映画「国宝」の伏線考察について

映画「国宝」伏線考察について書いていきます
今回も先に原作を読んでから観たのですが、原作は上下巻の話だったので、どのエピソードを掘り下げてどんな感じの脚本になっているのかも興味がありました! 

個人的に観た率直な感想を言うと「3時間もあったの?」でした!
そりゃあ歌舞伎通の人がみると舞の出来栄えや立ち居振る舞い、国宝としての行動などはたぶん物足りないとは思いますよ。いくら稽古をつんだとしても1年弱ですからね。
ただエンタメとして観るのなら歌舞伎の演目を知らなくても楽しかったです

原作もあって上下巻ものですが、これまた巻数が気にならずサクサクすすみます 
事前に読んでおくのもこれまた良いですよ、僕はそうしました!

そんな「国宝」ですが
今回考察するのは下記の「5つ」です。

1.視覚的効果が高い
2.ミミズクに込めた想い
3.伏線的な万菊
4.原作と異なって少し残念…なとこ(ネタバレ的な?)
5.個人感想

①視覚的効果が高い

歌舞伎って真剣に見たことない人の方が多いと思うんだよね
僕もそうでしたが、知ってても赤髪と白髪で頭グルグルまわす連獅子ぐらい? 
むかし某バンドがお江戸ロックでやってましたね 笑


今回その連獅子は親子共演の部分として最初の方に演じられてました。
「そうそう これこれ」みたいな感じで、観ている方は序盤で歌舞伎を身近に感じられたんじゃないかなー

原作を読んでいても予備知識がないと演目が映像としては頭に浮かばなかったりするので、映像化はわかりやすかったなあ
いっちばん最初にでてくる「積恋雪関扉(つもるこい ゆきの せきのと)」はYouTubeで観ておくと歌舞伎ってこんな感じなのね ってわかるので映画にも入りやすいかも! 結構長いけどあんがい観れちゃいますよ!

主演のおふたりが女形という事で、ふたりで同時に舞うのが目玉的扱いになるのかな
「二人藤娘」「二人道成寺」などなど
同じ演目「二人道成寺」を年月が経って再演する設定なんだけど、そのあたりの時間経過もしっかり演じられていたと思います。
表情や仕草ひとつづつに年月をしっかり感じられる演技でその違いにハッとさせられてしまうくらい
舞い自体の出来栄えにとやかく言ってる人も界隈にはいますが、「演じている舞」としては十分すぎると感じました

普通に考えて短時間であの出来栄えってすごいと思う

加えて 万菊を演じた田中泯さん「鷺娘」サイコーでした あれ大好き!
演技の上でもしっかり歳をくってるのに、所作が綺麗でいかにもーって感じが現れていました まさにバケモノ感!
なにげかすかにふるえる声もいい味だしてました

映画の視点も観客よりだったと思いますし、歌舞伎ってこんな綺麗な雰囲気もあるんだって
良い宣伝にもなったのではないかな?
実際 近くに公演が来たら観にいってみたいと思いました

②ミミズクに込めた想い

吉沢亮演じる喜久雄は任侠一家「立花家」の跡取りなわけで、若くして背中にミミズクの入れ墨を入れています。
なぜミミズクなのかって説明は劇中では実にさらっと過ぎていきます個人的には結構重要な点なのでは?と思っていました。

「ミミズクは恩を受けた相手を決して忘れない」と言うことで親代わりといっていいくらいに面倒をみてくれた花井半二郎への恩義をもって生き続けたという事になるのでしょう。

半二郎は喜久雄が取った親の仇討ちを曽我兄弟」と評価し、自分が以前喜久雄の舞った女形を観た時に化ける可能性を見出していたので預かったという感じですが、
自分の息子 俊介 の甘さをたたき直すためのライバルという役目もあったようです。


原作ではもっと恩義を受け続ける相手がおり、その相手が最大の罪を犯しても喜久雄はすべてを許します
今回映画ではその相手自体存在していないので大きく変わったわけですが、ミミズクの恩義は花井半二郎へ向けられたという事で丸く収めましたね。
ぞれならいっそ入れ墨、なくても良かった気もしますが… 笑

③伏線的な万菊

女形の第一人者 万菊(田中泯)を半二郎に連れられて観にいく喜久雄と俊介ですが、その演目が「鷺娘」です
元々は「隅田川」だったのでここを変えたのはあとあとの伏線なんだなー きっと

展開としては、目の当たりにした万菊の鷺娘に「こんなもん 女ちゃうわ 化け物や」(喜久雄)、「確かに化け物や せやけど 美しい化け物やで」(俊介)と格の違いにふたりは圧倒されます。
あの万菊の舞いの悲壮感 ヤバかった

今後ふたりが超えていくべき女形との衝撃の出会いの場
万菊が喜久雄に言い放った「役者になるんだったら、そのお顔は邪魔も邪魔 いつかそのお顔に自分が食われちまいますから」の言葉はこの先の喜久雄の行く厳しさを示していたのかも

喜久雄も俊介も波乱含みの生き方をしていたけど、最終的にはどちらも別々に万菊に関わっていく事になるんだよね
万菊、なにげ喜久雄の歌舞伎人生のキーマンです

④原作と異なって少し残念…なとこ(ネタバレ的な?)

映画化にあたってどこを削ってくるのかな と思っていたら、原作で僕がキーマンだと言っていた人がいなかった 笑
ごっそり人物はけずられていましたね。

これは話の中心を喜久雄と俊介、二人のみの人間関係に限ったからなのかも
残念なのは喜久雄の父親 立花権五郎(永瀬正敏)を殺し、その後喜久雄のミミズクの方となった辻村将生の存在が無かった事と喜久雄のそば付きで理解者であった徳次(下川恭平)があっという間に出番が終わった事

話の展開をスッキリさせるために仕方ないとはいえ、残念でしかたない
なんなら前後編でもいいからガッツリつくり込んで欲しかったかも…

登場人物は他にも大量のリストラがあって人物的なスカスカ感は否めなかった
藤駒(原作では市駒:見上愛)の娘(綾乃:瀧内公美)が成長した際の扱いの違いは映画のみのオリジナルだったのだけど、あれは果たして必要だったのかしら…

原作では喜久雄・俊介が落ちていく様がなかなかの見ものだったのだけど、俊介の苦労と苦悩からの復活が… 原作読んでいないと伝わらなかったのでは?? と思うほどあっさりしてた。

喜久雄が求める「景色」の世界?にハマっていくきっかけも映画では変更されていたけど、なかなかの怪演っぷりで吉沢亮さんすげかったなー
俊介の坊ちゃんぶりも、いかにもって感じ満載で良かった! だんだんと俊介が喜久雄に勝てなくなる 表現の演技がすごい難しいと思うけどしっかりやってのけた横浜流星さんもすげーよね。

あとはあれね、人間国宝にすんなりなってしまってたね 笑
原作みたいに喜久雄本人は知らない状態で最後舞っている所を映像化してほしかったー
あの終わり方はすごく好きだったんだよね、国宝認定よりも自分の求める「景色」の境地にたどり着いた喜び そこを表現してほしかった

ともあれ 原作とは多々違いはあれど、話の中心を喜久雄と俊介の競い合いからの決別、再会から終わりまでに絞っていたからあんな風になるのかなと 演技はすごかったです!

⑤個人感想

3時間近い映画なんだけど、率直にもっと見たい部分があったなーと
すごく長くなってしまうのわかるし、大人の事情もあるとはおもうのだけれど 映像と演技が素敵だっただけにもったいないーー

喜久雄と俊介の関係性に特化するのなら、内面からあふれた嫉妬と羨望、ないものねだりで足掻く様をあの二人がどんなふうに演じるのかを観たかった
舞台の華やかさと裏方・内面の荒み具合のギャップを楽しめるような作りにしてくれてたらもっと楽しかったなと思いました。

綺麗に見せる部分にウエイトかかりすぎてたんじゃね って感じですね。

以上が、映画「国宝」の伏線・考察についてでした。

◆総合評価&あらすじ

映画「国宝」のあらすじ

後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。

この世ならざる美しい顔を持つ喜久雄は、航走によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。

ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある”感涙”と”熱狂”。

何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在”国宝”へと駆け上がるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせるー。

                          
     引用:映画「国宝」公式サイト

◆みどころ(おすすめポイント)は?

映画「国宝」ってどんな映画なの?という人は、上の1分半くらいの予告編映像(YouTube動画)もチェックしてみてください。

それでは、映画「国宝」の見どころを2つ、ネタバレなしでご紹介します。

見どころ①:お互いの心情

二人の心情変化は複雑で、見どころのひとつではないでしょうか。
喜久雄は半二郎に引き取られた後、半二郎・俊介の「連獅子」に圧倒され、その魅力にやられます。
その後は、血縁のなさを嘆き悩みながらもどっぷり歌舞伎の世界に浸かっていきます 自分の血縁や他の何をさしおいても頂点に立ちたい想いはやがて自分が知りえぬ「世界の景色」へ到達することを激しく欲していきます
もともと芸には真面目?な喜久雄の心境に変化が現れるのも生々しくていいですよ。

一方俊介は 本人も周りもいずれが父親の名を世襲していく存在として育てられた御曹司
甘さとこらえ性のなさは、周りにも影響を与えたのかひとりの女性を連れ去ります。
逃避行は後に自分の身を苦しめる事となりますが、復帰後はすんなり元のレールにのっていくあたりは人間的な成長はしていなさそうに感じました。
ただ、その心情は大きく変化があったように見えます

この映画ではそんな二人の心の動きと舞いのすごさが魅力です

見どころ②:子供時代の舞い

なにげ 一番版最初の子供のころを演じた役者さんの舞いが良かったなと思うのです。
「関扉」を演じるのですが、うまいなと思いましたね。
そりゃきっと 舞いをしっかりやっている方にすると全然なのかもしれませんが、僕のような素人が最初に目の当たりにする歌舞伎風としては充分すぎる魅力を感じさせました!

この後もっとすごい歌舞伎がみれちゃうの? って期待も膨らみましたね

半二郎が喜久雄を見ることになる場面なので、話の展開としてもとても重要でもあります。
個人的にはこのとっかかりは 見どころです。
なんでも主役と違ってお稽古の期間めっちゃくちゃ短かったらしいです!それもすごいよね!!

◆印象に残ったセリフ・シーン

印象に残ったセリフやシーンは結構ありました 書き連ねるとそれだけでいっぱいになるので少しだけ 笑

「そんな水っぽい芝居で舞台立てるんかい」「あと一つ鐘なったらあんた死ぬんやで」
これは喜久雄の運命の分かれ道ともなる舞台で半二郎から指導を受けている時のセリフですが
何とも言えない鬼気迫る場面で大好きでした!
その部分がちょうどアップされてました♪

「ここには美しいものが何もなくてほっとする…」
人間国宝となっている女形・万菊さんが晩年暮らしていた場所での言葉です
常に周りから美を求められて生きてきた本音がこぼれた瞬間… たまらんです

ここも喜久雄のターニングポイントになる場面の言葉ですね

半二郎・万菊 ともに喜久雄の歌舞伎人生にはなくてはならない存在でした

絶対にネタバレ厳禁なラストシーン

今回のラストは原作とある意味違うのですが、どちらが良いか というと
僕は原作での終わりを観たかったですね。

とは言え誰も到達したことのない「景色」を手に入れたあの感覚を映像化するのは難しいのに とってもわかりやすく表現されていました
あれはフラフラーっと向こうに行ってしまいますね。

だからなおさら原作の終わりが… って思っちゃう!

◆みんなの評判は?

映画「国宝」は世間でも話題になっていますね。

◆こんな人におすすめ

歌舞伎の話かー ってしり込みしそうな方には是非観てほしい!
ちょっと長いよなー って思う方にも観てほしい!

全然難しくないし、全然あっという間だから

【まとめ】

映画「国宝」の伏線考察について説明しました。

1.視覚的効果が高い
2.ミミズクに込めた想い
3.伏線的な万菊
4.原作と異なって少し残念…なとこ(ネタバレ的な?)
5.個人感想

気になるっておもったら観にいっちゃおう!

あとね ぜひ原作を読んでほしい
俊介も喜久雄も映画では出し切れなかった芸への想いがここに隠されています!

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