今回は綾辻行人さんの「時計館の殺人」の伏線などについて考察します。
今年(2026年)2月から3月にかけてHuluで「十角館の殺人」に引き続き第2弾が配信されてますね。
それを踏まえての今回ですが、原作を読んでからの方が断然楽しめます!
「時計館の殺人」は館シリーズでは5作目になります。
シリーズ2~4までは十角館の2人がそろう事が無かったので、実写の第二弾が今回の時計館になるだろうとは何となく予想できました が 結構大掛かりになりそうだけど できるの?
と思ってたのは僕だけじゃないはず!
さて、肝心の小説の内容はというと…
これまた当然のように面白い!!
お約束の中村青司の建物で起こる殺人事件に伏線があちこちにあって、最初この人犯人だよなー
って思ってたのが結局違ってた という 浅はかな僕でした 笑
そんな「時計館の殺人」、まずは観る前に読むことをオススメします!
Contents
粗あらすじと個人的な感想
物語のながれ
館を埋める108個の時計コレクション。鎌倉の森の暗がりに建つその時計館で10年前1人の少女が死んだ。館に関わる人々に次々起こる自殺、事故、病死。死者の想いが籠る時計館を訪れた9人の男女に無差別殺人の恐怖が襲う。凄惨な光景ののちに明かされるめくるめく真相とは?第45回日本推理作家協会賞受賞。
引用:講談社
十角館の悲劇から3年、ふたたび江南は中村青司の屋敷と関わる事に…
3年の間に島田潔は小説家「鹿谷門美」に、江南は雑誌編集者になっています。
今回 雑誌CHAOSの企画として「鎌倉・時計屋敷の亡霊に挑む」を担当した江南でしたが、その屋敷が中村青司の設計によるものだと知り島田を訪ね、その事を伝えます。
「十角館」での凄惨な体験記憶を抱えたままにもかかわらず、江南の周りでは次々に人が殺されていきます。
前回は殺人事件の実体験をしたわけではない江南でしたが、今回は当事者になってしまいます。
自身が殺されるかもしれない恐怖と戦いながらも、犯人は誰で動悸は何かを推理していきます。
今回も伏線が多いので、読み手としても読み進めるたびに頭で色々考えてしまいますが
何度読んでも楽しめます。
そんな「時計館の殺人」
今回僕が考察するのは下記の「5つ」です。
1.霊能者・光明寺美琴
2.大学生のおかした罪
3.現在の当主・由季弥
4.こまかい伏線
5.個人感想
1.霊能者・光明寺美琴
今回の企画参加者には、雑誌社から江南と副編集長の小早川、カメラマンの内海の3名、とある大学の超常現象研究会5名(樫早紀子、河原崎潤一、瓜生民佐男、渡辺涼介、新見こずえ)そして、霊能者・光明寺美琴の合計9名がこの時計館に3日泊まり込み 交霊会を行うわけですが
この光明寺さん、なかなかいい感じの胡散臭さが拭えません。
そして偶然にも鹿谷の隣に住んでます。 笑
ここでのポイントは「匂い」、独特なお香のような匂いをまとっているそうです。
光明寺は交霊に先立って参加者全員に同じ黒衣を着せ、不純物があってはいけないとのことで時計や眼鏡など貴金属などを持ち込まないように指示します。
あまり聞いたことのない事をさせますが、これは伏線で意味のある行動だったりします。
初日の夜、1回目の交霊会が行われ そこで亡くなった娘の霊を降霊します。
その中で光明寺は棚の後ろに落ちている鍵の所在を言い当て交霊会が終わります。
これ、本当ならすごい人よね!
終了後集まった面々、一連のやり取りを懐疑的に見る者と信じる者に分かれるわけですが、その夜更け
江南は偶然にも光明寺が振り子の部屋に行くのを目撃します。
こっそり後をつけた江南、振り子の部屋ではなにやら話し声が。
しかし鍵がしっかりかかっており中には入れません。
そのうち大きな物音と共に静寂になり びびった江南はそのまま部屋に戻ってしまいます。
さて、次の日 みんなが遅く起きてくる中 光明寺の姿がない という事になります。
実はここの展開にもしっかり伏線が張られていました。 読んでるときは気づかなかった…
結果としてその日から光明寺の姿は消えてしまい、振り子の部屋の中を探索した小早川と江南は「壊れた時計」「(古い)血まみれのウエディングドレス」「絨毯に(新しい)血痕らしきもの」を見つけます。
これはわかりやすい伏線ですが、誰がどうなったのか? 光明寺襲われた?
などのつながりは、この段階ではまったく見えません。
ただ、その後繰り返される殺人の際に光明寺の残り香があったことから、犯人が光明寺だとうっすら思っています。
光明寺に関してはその後、隠された事実がいくつか浮かびあがりますが
その前の段階で犯人ではないだろうなー と おぼろげながら僕は思いました。
だってそれじゃ簡単すぎるものね 笑
2.大学生のおかした罪
この物語の肝となるのがこの大学生たち。
過去に時計館に取材?を申し込んだものの、一蹴された経緯のある超常現象研究会のメンツでした雑誌社副編集長・小早川のツテで参加になります。
3年生の樫・河原崎・瓜生・福西は昔からの知り合い同士で10年前の小学5年生の時、塾の夏期講習で時計館を訪れた事があります。
今回福西は親戚に突然の不幸があり参加を見送る事になり、代わりに2年生の渡辺が参加となりました。
もうひとり2年生では新見が参加していますがこの2人は屋敷自体初めてです。
この大学3年生たちが、10年前にしでかした「出来事」も大きな伏線となってます。
当時、今回の幽霊だと思われている少女にも、その弟にも、父親にも会ったことがある4人ですが
なぜかはっきりと思い出せないその「出来事」 というのが話の展開に大きな影響を与えています。
結果的に無関係と思われた2年生も含めた全員が犠牲になってしまいます…
不参加だった福西ですが、やはり時計館が気になり単独だめもとで屋敷に向かいます。
そして、これまた単独行動の鹿谷と道中に出会う事で、結果として時計館を訪れる事になります。
福西もまた10年の事にひっかかりを覚え、それが何によるものなのかを自身で探ります。
そこで彼が気づいた事実が最後の展開に大きな動きをもたらします。
3.現在の当主・由季弥
この時計屋敷は旧館と新館に分かれていて、今回企画を取り行うのは普段使用されていない旧館です。
数々の時計たちもこちらに集められています。
新館で住んでいるのは17歳の現当主・古峨由季弥と建物の管理者・伊波紗世子、占い師・野々宮の3人で、使用人の田所が通いで来ているようです。
由季弥は養子なので義姉の永遠とは血のつながりありません。
が、昔から永遠を崇拝ともいえる絶対性で慕っていました。
その永遠が自死してしまい、その姿を最初に見つけてしまったが故に由季弥の心は壊れてしまいます。
今でも姉が生きているかのように生活し、「お姉さんをいじめるやつは僕が殺してやる、僕は大丈夫」と
結構あぶない病みかたをしています。
1日を無為に過ごし、することと言えば亡き義父に言われた ”時計塔の時計のネジを毎日巻くこと” だけ。
しかも夜な夜な歩き回るようにもなり、結果それが一連の幽霊騒動の目撃だったりします。
10年前の「出来事」の際、小学5年だった大学生たちは7歳くらいの由季弥を見かけていたので面識があるっちゃあるらしいです。
霊能者・光明寺も怪しいけど、こっちの由季弥の方が数倍怪しい 笑
動悸は「姉の自死」にあるのは間違いなさそうですし、旧館に籠っている人間が殺された際のこされたのが
「おまえたちがころした」と全部ひらがなのが 僕的には壊れてしまった当時のままの由季弥の幼さが出ている と おぼろげながら思ったのですよね。
とは言え そういう風に見せかけているのかも知れない って思いも持ちながら読んでました。
どっちもありそうなんだよねー
4.こまかい伏線
「時計館の殺人」は他にも伏線が細かく入っています。
僕のカンが悪いのか、結構な伏線やヒントがあるにも関わらず犯人を決め切れなかったです 笑
中には そういう事なのね!! 的なのもありますが、
・最初に伊波さんがメンバーの変更に難色を示した点
・耳の悪い伊波さん
・水のでない旧館
・福西の頭に浮かぶ「陥没した 穴に 落ちる」という言葉
・鹿谷と福西が途中で得た近隣の喫茶店店主からの言葉
「永遠の父親は狂っている」「時計塔の時計がいつもでたらめな時間をさしていた」
・旧館にいる人間の体調変化
などなど 書き上げるとものすごくなる 笑
さらに他にも謎もたくさんあったりするんだよね
5.個人感想
個人的な感想は、久しぶりに十角館の2人が会ったのに、またとんでもない事件に巻き込まれてしまったのね
って感じ 笑
もう少し平和に居られたらよかったのになと思うしだいで。
話の展開は 旧館と新館で次々と出来事が起こるので、色々考えながら読めて面白かった に尽きます。
この話、どんなきっかけで考え付いたのか 壮大ながらも、やればできそうなトリックがまたたまらない!
今回読み返したのはHuluでのドラマ配信がきっかけだったのですが、原作を読んでいくと どんな風に表現されているのかが気になってしかたないです。
これまで書いた以外にも伏線があり、謎にもつつまれて、僕は最後まで真相がわからなかったです…
真相は鹿谷が導き出すのですが
・その真相が何か?
・前当主が残した詩の意味は何か?
・なぜ凶器が時計だったのか?
・なぜ大学生を殺したあと犯人は目撃される行動をとったのか?
・なぜ江南は殺されなかったのか?
・なぜ死体が放置されたものと埋められたものがあるのか?
全部の謎と伏線 あなたは気づけるでしょうか
まとめ
今回は綾辻行人さんの「時計館の殺人」を読み下の5つの考察をしました。
1.霊能者・光明寺美琴
2.大学生のおかした罪
3.現在の当主・由季弥
4.こまかい伏線
5.個人感想
なるべくネタバレしないように書いたので、書ききれない点が多々あるのですが
細かな人物関係や心情の変化、ここでつながるのか!!
など読みどころはめっちゃくちゃあります。
スケールの大きな時計館にどうかあなたも入り込んでいってほしい
この本たちも面白かった!!
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