「8番出口」その“出口”はいったいどこにあるのか…
条件に基づいて地下通路の異変を探さなければ「出口」はでてこない。
天井から流れる血、笑うおじさん、自分の証明写真──それらの異変はすべて、あなた自身の過去の“〇〇”かもしれない。
川村元気さんの小説『8番出口』は、ただのホラーでくくれない!
これは“見て見ぬふり”をしてきた過去と向き合い、人生の選択を迫られる物語。
ゲームから派生したとは思えない内容です。
ぜひ一読してほしい!
Contents
粗あらすじと個人的な感想
粗あらすじ
地下通路という閉鎖的な空間のなかで、行くか引き返すかの無限の2択を繰り返すというゲームをもとに、驚嘆さえ覚える深みと広がりでその世界を解釈し物語を生み出した川村氏。人生観、死生観、現代人に共通する罪の意識を、読むもの観るものに深く突きつけます。
「グローバルで闘っていくためには、国籍やジェンダーや人種など、自らのアイデンティティを全部背負ったユニークな作品をつくらねばならない。では自分のアイデンティティは何かと考え、日本というゲーム大国でビデオゲーム世代として生まれ育ったこと、映画人としてずっと携わってきたアニメーション映画の表現、小説家としてのストーリーテリングとテーマ性、この全キャリア・全得意技を投入してみようとチャレンジしました。結果、カンヌ映画祭においても、よく物語のないゲームからあのような物語を創出した、と驚かれ、同時に面白がってもらえました」映画監督業と並行し執筆された小説は、映画では表現しえない主人公たちの進行形の頭の中、心の動きがすべて描かれ、更には、映画ではカットされたいくつかの【異変】も小説で読むことが出来る、双子のような作品です。
引用:水鈴社
そんな「8番出口」
今回考察したのは下記の「5つ」です。
1.無限ループと4つの条件
2.“8”という数字の意味と怖さ
3.「8番出口」はなぜ現れたのか?
4.「どうする?」問いかけの重要性
5.個人感想
1.無限ループと4つの条件
ゲームでも小説でも、核となる事柄は同じです。
地下鉄の地下歩道から出ていくだけ 笑
日常生活から突然「8」の無限ループに巻き込まれた主人公ですが、きっかけは唐突です。
どうやら とある人生の選択を迫られている者が迷い込んでしまうらしい感じが冒頭でみてとれます。
スマホの時刻は88:88になっており、そしてたどり着いた通路で見上げた出口も「8番出口」。
すでにゲームでお馴染みなのでなんとも思わない方が多いと思いますが、小説では「8」へのこだわりが丁寧に表現されています。
数字ともうひとつ印象的なのが黄色です。
書籍自体も黄色を全面アピールしてますし、紙媒体だとページが黄色かったり文字が一部黄色だったりします。(黄色文字見えにくいよね)
この黄色文字は順番におっていくととあるメッセージになります
それとは別に頁の数字が黄色の部分があるんだけど、この謎がいまだにわからない…
だれか賢い方解決して スッキリさせてほしいー
ともあれ
そんな突然入り込んだ地下鉄の通路で、主人公は訳がわからずループを3回くらい繰り返し(ここはさすがに8回だとくどいよね 笑)
エッシャーの「8のループ絵」なんぞみて、やっと条件の表示がある事に気づきます。
条件はいたって簡単で、「通路上で”異変”があったら引き返し、なかったらそのまま進む」だけ。
短い通路のループだけど、ものすごくわかりやすい異変ならいいけど、そうじゃないものもあるので実際はなかなか進まない。
そんな中で主人公が他のキャラにも出会い、自分を見つめなおす 的なお話しです。
さて、ここは現実なのか空想なのか そして彼は 無事に抜け出せるのでしょうか
2.“8”という数字の意味と怖さ
無限ループって言う時点で何となく想像がつきましたが 笑
「8」の意味はエッシャーのだまし絵のような抜け場所のない状態と横にしたときの「∞(無限大)」から繰り返される無限ループって事でほぼ間違いはないですよね。
「進んでも進んでも同じ景色が続く地下通路」
これって現実に目の当たりにすると 発狂まちがいましだと思うのだけど…
抜けだせる保証もないし、同じく毎回すれ違う人間がいるって事は迷いっぱなしでとどまる人もいるの?
って思ってしまうし
正解していくと出口の番号が上がっていくので、そこだけを希望にして進んでいくしかないのだけどね
一番怖いのは進んでいく事が本当に正解なのか自分でわからない って事だと思う
3.「8番出口」はなぜ現れたのか?
なぜ8番出口が現れて、迷い込んでしまったのか
小説を読んでいると「過去に自分の心に何かしらの蟠りを「罪」としている状態で、その時の自分にとって最大の選択を迫られた時」に現れて迷い込んでいるうに思えます。
ちょっと遠回しな言い方になってしまった 笑
この主人公の場合は「無関心:見て見ぬふり」が罪ともいえるのかな と
迷い込む前に地下鉄で主人公が遭遇する「無関心」と過去の自分が経験した事に対する「無関心」、そして現実に突き付けられた、「無関心ではいられない選択」が合わさった時に「8番出口のループ」に入り込んでます。
選択をしきれない主人公はループしていく中で一つの選択をしていきます。
地下歩道を行くのか戻るのかの選択も毎回あるのだけどね、もっと大きな選択について決断し、抜け出したいと強く思った結果がエンディングにつながっていきます。
4.「どうする?」問いかけの重要性
常日頃主人公は彼女から「どうする?」と 問いかけを受けている事が多かったようで
どうやら何事もその場で決められないタイプだったようです。
無関心というより、結果を先送りにしてうやむやにする感じでしょうか
それでもって、現代によくある「見て見ぬふり」も加わってきます。
これは だれしも思い当たる節があるのではないでしょうか
今回も彼女は(この段階では元彼女でした)主人公に一つの選択を聞きますが、その返事をするさなかに主人公は無限ループに巻き込まれます。 鳴女の琵琶が聞こえてきそう 笑
その時点で電話は切れ、強制的に異変を探す旅にでます。
彼女にすぐ返事をしなければならない思いもあり焦るなかで、異変かどうか判断しがたい出来事に遭遇していく主人公
遭遇するキャラクターとの関係性と彼女の「どうする?」の問いかけが最後に主人公にある決断をさせる事になります。
中盤あたりからこの関係性が伏線回収として効いてくるので、バババーッと読み進んでいけます!
5.個人感想
『8番出口』はもともとインディーゲームとして話題になった作品。
無限に続く地下通路で“異変”を見つけながら出口を目指すという、シンプルながら不気味なゲーム体験が、SNSを中心に大ブームを巻き起こしました。
そのゲームを原作に川村元気さんが脚本・監督を務めた実写映画用に書き下ろして小説が生まれたわけですが
この二つ、まったく違うようでいて、実は“双子”のような関係らしいです。(著者が何かで語ってた!)
川村さんはインタビューで、「映画はほとんどセリフがない。モノローグも一切ない」と語っています。
小説ではさすがにそうはいかないので 笑
「どうする?」という問いに答えられない主人公の葛藤や過去の記憶、罪の意識が丁寧に描写されていました。
どうやら映画では語られない異変も小説内にはあるようです。
そのあたりは映画をみて確かめてみようかと思います。
個人的には主人公が突然の出来事を受け入れて、戸惑いながらも自分の過去と向き合う出来事をの乗り越え
未来に向かっていけるような強さを得ていく そんな展開に安心しました。
こういう話はハッピーエンドに終わってほしいものです!
ただ 黄色で記されたページ数 その謎が ホントに解けずにモヤッとしてます 笑
まとめ
今回は川村元気さんの「8番出口」を読み下の5つの考察をしました。
1.無限ループと4つの条件
2.“8”という数字の意味と怖さ
3.「8番出口」はなぜ現れたのか?
4.「どうする?」問いかけの重要性
5.個人感想
『8番出口』はゲームから派生したというより、まったく新しく考えれらた物語でした。
ゲームの内容軸をそのままに、現代の人間が誰もが持つ悩みや葛藤、闇の部分など
これは、自分の感覚と認識をも試されてるのか とも思える内容でした!
これがもうすぐ映画化なんて
どんな内容に仕上がっているのかそれまた楽しみです!!
この本たちも面白かった!!
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